2024年のWOS その①写真多め(2024.10.6)
WOS( Winter Over Seed)といいます。
芝生用語で暖地型芝生(うちではティフトン419・セレブレーションという芝種)の上に寒地型芝生(うちではペレニアルライグラスという芝種)の種を蒔くことです。冬に茶枯れしてしまう暖地型芝生の上に、冬にも枯れない寒地型芝生が生きることによって、芝生の緑が途切れることなく、一年中緑色を維持した天然の芝生地を作り上げる手法です。
なぜ種まきするのか?
まぁ!冬も緑の公園にするの?
豊かね〜贅沢ねぇ〜。
・・・という理由ではないのです。毎年説明していますが、今年もします。
この地では踏圧が年々増加中
黎明橋公園を取り巻く人口は年々増加しています。黎明橋公園が2013年に芝生広場に改修されて以降、お大きなタワーマンションが3本たちました。3つのタワマンで総戸数3412戸です。そしてその後も公園の周りでは大きな再開発が3つ完了しています。1つは晴海2丁目計画(1076戸)、もう一つは昨年完了した勝どき東地区一再開発事業(2786戸)、そして今年のオリンピック選手村跡地の晴海フラッグ(5682戸)です。よく言われる湾岸のタワマン銀座。みるみるうちに町は姿を変えて、人通りが多くなり、賑わいが出てより便利になりました。しかしながら人が遊ぶ場所や天然の緑に癒される場所は変わらず・・・つまり芝生にきてくれる人はどんどん増えてきています。
裸地化の流れ
時は遡り、コロナ時。ステイホームで夜間人口がに昼間人口となり、学校は休校、マンションのジムは閉鎖でした。その時に毎年緑になっていた4年ものの芝生が禿げてなくなりました。おそらく人々が集まり踏まれすぎたのではと思います。無惨な芝生の姿を見てボランティアみんな呆然とし、悲しかったのですが、それはそれで人々の安寧のために芝生が役に立ってよかったんだなと思いました。その後祈るように刺激を与えたりもしましたが変わらず・・・。さぁどうする?となった時に、私たちが決断したのは近隣住民のみんなで1500苗を植えることでした。
また初めからやり直そう。
その成果は素晴らしく大成功。希望の姿でした。これでうまくゆく!と思いきや、その翌年も禿げてしまいました。
なぜだ?
まだコロナの名残があったものの、冬に茶枯れした暖地型芝生が春に目を出す時、その一番弱い弱いしい時に踏まれて無くなって裸地化することを確認しました。ステイホームの名残りなのかやはり春に芝生がやられてしまってるようです。これを守ってあげなければならないことがわかりました。
守れなければ、毎年植えてはハゲ、植えてはハゲを繰り返すだけす。植えるのも大変なんです。素人の住民が行うには本格的な工事です。(最近は手慣れてきています)そんな苦労ができるのは希望があってこそ。どうせまた禿げてなくなる命を植えても切ないだけです。天然芝には厳しい場所。ここででた秘策がWOSでした。そして春に3000苗を補植し同じ年の秋に寒地型芝生の種を蒔きました。
そこで春の芝生を守る作戦
というわけで、この場所では春の芽吹きを守る役割が寒地型芝生なのです。あらー、冬も枯れずに緑豊な芝生公園なんて贅沢ね、という理由ではないのでした。タネはイクシバの助成金や会費や寄付金で購入しますし(収支赤字)、さらに種を蒔いた後は毎日水やりが欠かせないので、平日もボランティアが当番を組んで対応します。本来はこの手法を取りうる場所は、スタジアムなど自動スプリンクラー設備のある場所がほとんどでしょう。その点において非常識です。普通の公園でしかない黎明橋公園では自動スプリンクラーがなく、手で水を撒くしかない場所です。その水量もその時間短縮できるような大きなものではなく、水道管のは家庭用と同じものです。はっきり言って無茶です。作業がボランティアの作業としてヘビーで、一人の力で成し得ることはできませんが、力を合わせて実施しています。
この作業でようやく天然芝を保てています。
一人一人の小さな力を合わせると11年間芝生を保つことができています。非常識で無茶かもしれませんが、育てる人にも利用する人にも地球にも多くの恩恵がある天然芝の広場。かけがえがないのです。
ここに芝生の環境がずっとありますように」と願いを元に、イクシバはその音頭取りの役割を担い、共感してくれる住民、中には電車できてくれは人も・・・参加してくれるメンバーが実行してくれています。
今年で4回目の種まきです。
朝の準備
今日の作業の順番に器具を並べてみました。説明の時にイメージが湧くかなー
参加の皆さん!
この日はいつもの1時間コースではありません。2時間コースです。範囲が全面で、完遂すべき作業は決まってますから、人数が少なければ負担が増え、人が集まれば集まるほど早く終えられます。
、、こんな日でもイクシバは事前に参加者人数を把握していません。このマネジメントの負の面ですが、サスティナブルなボランティア活動を自由意志で行うメリットの方がおおきいと思っています。(でも、本当に誰も揃わなければ到底出来ない作業だし、種は購入済みだし、音頭取り役は1週間くらい前から眠れないほど不安で胃が痛いです)
たくさんの人が集まってくれました!時間になると、今日は忙しいぞ!と知ってるイクシバメンバーがきてくれました、この日のチラシを公園周辺にあちこち貼ってるのを見たよ!と親子さんがきてくれました。先月おやじの出番!で初参加してくれた親子さん、そしていつもの郵便局長さんズさんは二週連続で参加してくださいました。今日はリバーシティ21郵便局長さん、銀座4郵便局長さん、勝どき3丁目郵便局長さんがきてくれました。いなっ子の主催されてる社協さん職員さんもイクシバ体験しにきてくれて、園芸界の先輩は浜松から始発に乗ってきてくれました。そして!初参加の近隣企業さん株式会社デアゴスティーニ・ジャパンの皆さんが5人で❣️参加してくれました。この日に向けて社内調整を繰り返して実現してくれました。ありがとうございます。ほとんどの人が初顔合わせです。いつものことですが、この中でうまく調和しながら作業を進めて行きます。
ミーティング
おー!今日の作業はすごく地味です。でもこれがあるので芽吹きと来月の美しい芝生が嬉しいんです・・・本当にご参加くださりありがとうございます。一人増えるごとに作業が軽減されます。芝生の上では誰もが大大歓迎される尊い存在です。みんなで楽しく種まきしましよー!!おー!
今日は一年に一度の作業なので、皆さんが迷子にならぬように・・・段取りうまく進むように、でも時間はそんなにかけられず・・・考え出すとまとまらないのが余計にまとまらない。上手な話ではないのですが「伝わってー!!」との想いだけで説明。口からだけでなく身振りつき。
体操
さ、始める前に体ほぐし。
芝刈り
今日は盛りだくさんなので、芝刈り体験をちょっぴりしか満喫していただくことができずにごめんなさい🙏
『種が無事に接地すること!』今日のテーマはこれ。
グサグサ
芝刈り機と同時進行で少しだけ穴を開けます。これが今日一番の重労働です。
わー腕が・・・上がらんー。と次々悲鳴にも似た声が。でも頑張ってくださる皆さん。
こちらベテランさん
みんなで一直線になってグサグサ。
芝刈り機とグサグサの遭遇
種まき
いよいよ種まきです。
マシンで撒きますが、手でも撒きます。これ大事。タネの感触、匂い。じっくり感じて行きましょう。
タネのアップです。同じ種が秩父宮ラグビー場やIAI日本平スタジアム、nack5スタジアム大宮、鳥取のAxisバードスタジアム等々で使われています。プロ仕様のペレニアルライグラスです。
籾殻みたい・・・
一種間でこれくらいになりまーす。1ヶ月でこれくらいになりまーす。
すりすりしながらタネを撒くと発芽が早くなるよー。
重い重い種袋からの移動は、下手したらタネをドバーッと漏らしちゃいがちなので、ガルデナさんのシートを敷いてその上で。
やや多めの場所もありますが、こんな感じで撒きました。
すり込み
今日一番大事にしたい作業はこれです。
雑草がたくさんあるので、その葉っぱの上に種が乗ってるだけの状態はNG。刷り込んで砂の上に落とす作業が必要です。これも大変で地味ですが一生懸命擦り込んでくれました。
この作業を効率化・省労力化するために今年自作した刷り込みマシン(玄関マットを逆さまにしたもの)。これ、なかなか良かったです!
みんな一緒にレレレのおじさん
写真が2枚しかないのですが・・・この時間はずいぶん長くやりました。
布団かぶせ
ここまでで1時間です。さて後半!うっすら3mm目標で砂を撒きます。
公園遊具に遊びにきてる親子さんにも声をかけて、砂撒きしませんかー!今日だけ砂をまけますよ!とお誘いすると3組さんが急遽参加してれましたよ。
力持ち自慢さんが今日はたくさんいらっしゃってくれたので、たくさんの砂を撒くことができました。
施肥&散水
その後はいつもの施肥散水。施肥はいつもの倍量です。
ヘビーなマシンを押して走りっぱなし。そろそろ誰かに代わってもらいますか?と伺うと「いえ全然大丈夫ですよ」と軽く返答。なんと!芝生するならこれくらいのスタミナ欲しい・・・眩しー。
最後の振り返り
この時点で2時間弱です。皆さんご都合の良い時までで大丈夫のなので早帰りされる方も。
最後まで作業してくれた方々と芝吸いです。
呼吸を整え大地と一体化する時間は今日は長めに(その間MCは散水しに出掛けてました)
本当に本当にお疲れ様でした!
今日のポーズは”種まきポーズ”です!
次の日から毎日水やり当番さん
その②に続く・・・